北海道は札幌に移住して5年になりますが、移住する前に北海道旅行をしていたころは「北海道には梅雨が無いから!」とよく6月7月に北海道ゴルフ旅行をしていました。
しかし、札幌に住んでみて、6月7月に雨が降らなくて「さすが北海道!梅雨が無いから過ごしやすい!」と改めて実感したことはない気がします。
本当に北海道には梅雨がないのか?
ときどき北海道ローカルテレビで「蝦夷梅雨」という単語を耳にしますが・・・
ということで今回は、梅雨のことについて札幌と他都市を比較検証したり、蝦夷梅雨のことをまとめてみました。
降水量・日照時間のデータは気象庁(http://www.data.jma.go.jp/)よりお借りしました。
北海道に梅雨はないのか検証
札幌と東京・大阪・福岡の「降水量」比較/北海道の梅雨検証❶
気象庁の降水量の合計(mm)の平年値(1981年から2010年の30年平均値)を一覧にしました。
数値の単位:mm | 札幌 | 東京 | 大阪 | 福岡 |
5月上旬 | 19 | 30 | 48 | 48 |
5月中旬 | 17 | 53 | 58 | 60 |
5月下旬 | 16 | 55 | 39 | 35 |
6月上旬 | 14 | 34 | 37 | 44 |
6月中旬 | 17 | 62 | 58 | 74 |
6月下旬 | 16 | 72 | 89 | 137 |
7月上旬 | 25 | 62 | 66 | 113 |
7月中旬 | 31 | 45 | 64 | 105 |
7月下旬 | 25 | 47 | 27 | 60 |
8月上旬 | 39 | 59 | 27 | 44 |
8月中旬 | 31 | 47 | 30 | 64 |
8月下旬 | 55 | 63 | 34 | 64 |
6月中旬から7月中旬の降水量が、東京・大阪・福岡ではかなり増えているのに対し、札幌はそれほど増えておらず、東京・大阪・福岡の半分以下しか降っていないことも分かりますね。
やはり、北海道には梅雨がないというのは本当そうです。
次に、逆に「日照(晴れている時間)」についても調べてみました。
札幌と東京・大阪・福岡の「日照率」比較/北海道の梅雨検証❷
雨ではなく晴れている時間について比較してみましたが、各地で1日の日の出~日の入り時刻が違うので、念のために日照時間ではなく「日照率」で比較してみました。
但し、日照率については、気象庁HPに平年値の表記が無いため、2011年から2020年の10年間の日照率データを取り、こちらで10年間平均を計算してみました。
数値の単位:% | 札幌 | 東京 | 大阪 | 福岡 |
5月上旬 | 42 | 49 | 54 | 53 |
5月中旬 | 47 | 50 | 58 | 54 |
5月下旬 | 50 | 44 | 50 | 51 |
6月上旬 | 44 | 39 | 43 | 40 |
6月中旬 | 35 | 28 | 35 | 33 |
6月下旬 | 37 | 27 | 36 | 27 |
7月上旬 | 39 | 30 | 33 | 27 |
7月中旬 | 43 | 41 | 44 | 43 |
7月下旬 | 44 | 36 | 49 | 52 |
8月上旬 | 46 | 51 | 59 | 58 |
8月中旬 | 33 | 43 | 58 | 54 |
8月下旬 | 41 | 38 | 51 | 44 |
東京・大阪・福岡では、6月上旬~7月下旬の日照率が下がっていますので、これも梅雨の影響と言えそうです。
しかし、こちらでは札幌も他都市ほどではないにしても、日照率が下がっています。
そう言えば、札幌の降水量も7月上旬と中旬は、5月6月に比べて多いようです(他3都市ほどではないにしても)。
北海道特有の蝦夷梅雨とは
上記データにおける、札幌の7月上旬中旬あたりの降水量と日照率の悪さは、恐らく「蝦夷梅雨」と呼ばれる、北海道にもある長雨傾向によるものと思われます。
北海道でも、6月~7月に2週間程度の間、雨や曇りの日々が続くようなことがあります。
そして、北海道のこのような天候を「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」呼んでいます。
本州の梅雨の時期と同じ頃に、オホーツク海の高気圧の淵を回って流れ込む冷たく湿った空気の影響で低い雨雲が発生し、北海道の太平洋側を中心に雨を降らせるのです。
と言っても、本州九州の「梅雨」のような激しい豪雨や高温度・高湿度になるわけではなく、ただ単に雨の日がよく続くな~といった程度です。
そうは言っても、北海道には「梅雨」が無いと言い切れるのでしょうか?
それでも北海道には梅雨が無いという理由
「蝦夷梅雨」は、雨の多い日が続くということでは「梅雨」と同じことなのですが、本州以南の「梅雨」とは全く違う構造なのです。
「蝦夷梅雨」は、本州九州のような梅雨前線が原因ではなく、前記の通りオホーツク海付近で発生する高気圧が原因であるため「梅雨」とは全く異なるものなのです。
また、毎年やって来る現象ではなく、やって来る時期も一定ではないため、気象庁が定義する「梅雨」には該当しないのだそうです。
それでも、北海道太平洋側を中心に雨が多く降ったりすることが2週間くらい続く年があるということで「蝦夷梅雨」という名称がついています。
我々が思う「雨が長く続く」ことだけでは「梅雨」とは言わず、気象庁の定義に合わないために「梅雨」とは呼べないということです。
とは言っても「降水量」のデータの通りで、圧倒的に雨の量が少ないのは確かなので、期待通りの晴天続きではないにしても、メリットであると言えそうです。
念のため、最後に北海道の太平洋側(釧路)とオホーツク海側(網走)と札幌の降水量(気象庁の30年間平年値)で比較してみましたが、やはり蝦夷梅雨の説明にある通り、太平洋側の降水量が多いことが分かります。
札幌 | 網走 | 釧路 | |
5月上旬 | 19 | 20 | 37 |
5月中旬 | 17 | 20 | 34 |
5月下旬 | 16 | 22 | 40 |
6月上旬 | 14 | 17 | 34 |
6月中旬 | 17 | 20 | 40 |
6月下旬 | 16 | 16 | 34 |
7月上旬 | 25 | 21 | 40 |
7月中旬 | 31 | 36 | 54 |
7月下旬 | 25 | 31 | 33 |
8月上旬 | 39 | 30 | 31 |
8月中旬 | 31 | 31 | 41 |
8月下旬 | 55 | 39 | 58 |
以上、北海道には梅雨が無いというは本当か?蝦夷梅雨とは?でした。